船橋二和病院からのお知らせ
2025.12.04 医療コラム
いのちにかかわるOTC類似薬の保険はずし
公的健康保険から「OTC類似薬」をはずす動きが強まっています。
政府は医療費削減のためだと言いますが、「治療ができなくなる」と批判されています。
医療現場で使う医療用医薬品には、
(1)医師の処方が必要な「処方せん医薬品」
(2)医療用医薬品のなかでもOTC医薬品と同様の有効成分を持つ医薬品があります。
(2)が「OTC類似薬」と呼ばれるものです。
政府は、このOTC類似薬を保険からはずし、OTC医薬品にすることで医療費を削減しようとしています。
6月に閣議決定した「骨太の方針2025」(経済財政運営と改革の基本方針2025)にも
「OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し」を明記しました。
この薬保険から外れてしまうかも
OTC類似薬は、約7000品目もあります。
解熱鎮痛剤、アレルギー薬、胃腸薬、皮膚科用塗り薬、湿布薬、漢方薬など、日常診療で頻繁に使う薬が多いのが現状です。
経済的負担が一気に増加する場合も
患者さんの経済負担が膨れ上がり、治療の壁となることが予想されます。
価格が上がる理由の一つに自由価格ということがあります。
広告料も上乗せされます。保険での「10割負担」よりもさらに高額になります。
保険料を払っているのに、「治療に必要な薬に保険が効かない」事態が起こり、国民皆保険制度に穴が空くことになります。
副作用のリスクが心配
政府の推進するセルフメディケーション(軽度の体調不良や病気・けがは自分で対処する)で、OTC類似薬を自己判断で服用するのは副作用等のリスクが発生します。誤った薬の使用や相互作用により、健康被害の拡大につながる恐れもあります。
署名にご協力ください
日本医師会、日本薬剤師会、全国保険医団体連合会などが、反対の声をあげています。
NPOアトピー協会は、保険適用除外が検討されているOTC類似薬のなかに、「アトピー患者さんが治療に欠かすことのできないステロイド外用薬や保湿剤ヒルドイド(ヘパリン類似物質製剤)も含まれて」おり、「保険適用外となれば、長期治療が必要な患者さんの経済的負担が大幅に増え、治療が継続できない事態が発生することは明らか」だと訴えています。
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