船橋二和病院からのお知らせ
2024.06.12 医療コラム
ミニ医療講座 糖尿病治療の「進化」
船橋二和病院 内科 池田美佳 医師
糖尿病とは
糖尿病は血糖値が高い状態が長く続くことで、さまざまな困った症状(合併症)を引き起こすことが問題になる病気です。逆に言えば、治療をして合併症で困ることがなければ大丈夫ということです。糖尿病の合併症では、目が見えづらくなる網膜症や、腎臓の働きが悪くなる腎症、足のしびれや痛みの感覚が鈍くなる神経障害などが有名ですが、この他に動脈硬化で大切な血管が詰まる脳梗塞や心筋梗塞などがあります。
大きく変わった治療の考え方
この10年間で糖尿病の治療の考え方はずいぶん変わりました。高齢者では、低血糖を起こすと認知症が進みやすいということがわかったので、低血糖を起こさないように治療するということが大切に考えられるようになりました。特に、介護が必要な高齢者の治療目標は緩くなりました(血糖値は少し高めでいいということです)。治療薬も進歩したので、その人の生活に合わせて治療ができるようになってきました。 例えば、週に1回の注射をご本人やご家族がするのではなく、訪問看護師さんがしている方もいます。糖尿病の治療方法がそれまでよりも「自由に」なったといえます。
高齢者は十分な栄養を摂ることが大切
糖尿病の合併症で困らないことは大切ですが、高齢の方では、それ以上に、十分な栄養を摂ることが優先されます。栄養不足でやせてしまうと、いろいろな病気を呼び込んで、糖尿病の合併症よりも困ったことになることがあります(誤嚥性肺炎など)。まずは、栄養を十分に摂り、丈夫な体を保ちましょう。だからと言って、好きなものを好きなだけ食べて構わないというわけではなく、ごはんも肉も魚も野菜も食べてほしいと考えています。
「その人の生活に合わせた治療」へと進化
糖尿病の治療は「進化」しました。糖尿病に合わせた生活ではなく、その人の生活に合わせた治療、というふうに考え方も変わってきています。糖尿病がある方はもちろん、ない方も、皆さんが元気に過ごされることを願っています。
一覧に戻る