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2020.11.09 医療コラム

産婦人科コラム 妊産婦自殺の実態調査から思うこと

妊産婦自殺の実態調査から思うこと

妊産婦自殺の実態調査から思うこと


 2016年日本産科婦人科学会で妊産婦自殺者数の統計が発表され、当時は新聞などでも大きな話題となりました。
調査された東京23区内の2005~2014年の妊産婦の自殺者数は、妊娠中23人、産後1年未満で40人の計63人でした。
昔に比べ、お産の出血などで命を落とす人は減りました。現在の妊産婦が出血などで亡くなる割合は10万人あたり4.1人。一方自殺は10万人あたり8.5人であり、自殺で死亡する人が約2倍にあたるという衝撃的な結果でした。
妊娠中の自殺時期では2ヶ月が多く、ちょうどつわりも出てきて妊娠に気付く頃です。もしかしたら医療機関に受診する前であったのかもしれません。
 思いがけない妊娠や、パートナーや家族関係のトラブル、生活困窮など様々な背景があったのかもしれません。しかし、もし受診して医療者が何らかのサインを見落とさなければ防ぐことが出来た人もいるはずです。
医療者全体の意識向上も必要ですし、女性が自分の身を守るための避妊や、妊娠に関する正しい理解を得る手段が確立されるべきです。たとえば思春期の妊娠や、出産を終えた世代の避妊方法などは、まだまだ発信される場も少ないですし、1人1人の背景に合わせた支援は今後の課題といえます。
 また、産後の自殺では、産後うつ、うつ病、統合失調症などの精神疾患をもつ人が約5割を占めています。
 赤ちゃんを持つ現代のお母さんたちの育児環境を見てみると、核家族で夫は仕事で忙しく、昔のように兄弟が多くないので、赤ちゃんに触れるのは自分の子が初めてという人も少なくありません。何がなんだか分からないまま、赤ちゃんと2人だけの生活がはじまり、赤ちゃんが泣くのが怖くなるほど不安な中子育てをしていて、かわいいはずの赤ちゃんにいつも笑顔でいたいのに出来ない自分を責めて、それでもがんばっているママたち。
 私たちは母乳外来や2週間健診・1ヶ月健診などでそんなお母さんたちと出会うことがありますが、もっともっと身近な近所の方や、祖父母、時には通りすがりの方からの優しい一言や気配りがママたちの心を癒すことが出来ます。
私たちは、これからも妊婦さんやママたちの相談窓口になれるよう、また正しい知識や必要な情報を発信できるように活動していきたいと思います。

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